企業インタビュー
株式会社ナリヅカコーポレーションへのインタビューを行いました
2025年02月05日 南丹地域 : 南丹市

株式会社ナリヅカコーポレーション
専務取締役商品本部長 石垣 賢一様(後列右端)と
南丹センターで働かれている従業員の方々
1.事業概要
事業概要について教えてください。
当社は、製菓・製パンの香料や原材料を製造しているメーカーです。顧客としては製菓・製パンメーカー様、洋菓子店様、パン屋様などがいらっしゃいます。98%がそのような業務用製品の製造をしており、残りの2%はミニチュアの香料など、ケーキ作り等を趣味でやられている方向けの製品です。お菓子やパンに使用するバニラやフルーツ、お茶やナッツ等のフレーバーを中心にラインナップしております。
香りの再現はどのようにするのですか。
香りは、科学的に分析することができるのです。千葉の工場には、香りを分析する装置があり、1つの物にどのような香りの元素がどの割合で入っているのかを分析できます。香りの元素は数万に及び、全てを扱うことはできないので、当社はその一部である洋菓子・パン向けの製品が多いです。全国に香料メーカーは約200社ありますが、その中で分野が分かれており、調理系、飲料、化粧品、トイレタリーやたばこなど、その分野は多岐に渡ります。
人気のフレーバーなどはありますか。
当社で人気のフレーバーは、やはりバニラ、いちご、栗、抹茶などです。バニラと一言で言っても、お客様によって好みが違うため種類は様々で、一番バラエティに富んでいます。抹茶ペーストに関しては、宇治に製茶メーカーの協力工場がある関係で約30年前から製造しており、現在はそのラインナップも増えております。最近はインバウンドもあり、協力工場で製造している抹茶とともにご好評いただいております。

アルコール製剤も製造されているようですね。
そうですね。カビや食中毒の元になる細菌から食品を守る「除菌・防カビ剤 アルパワー」という製品も製造しています。食品添加物としてのアルコール製剤で、食品や食品に触れる容器に噴霧しても安心してご使用頂ける製品です。インフルエンザやコロナウイルス等の感染症が増えており、衛生の意識が高まっておりますので、大変多くのお客様から注文を頂いております。

香料の種類はどのようなものがありますか。
お菓子やパンの原料として使用用途別にお話をしますと、ゼリーやクリームなど熱が掛からない製品向けに揮発性の高いエッセンス、パン生地や焼き菓子、ドーナツなど製造に加熱工程がある製品向けにオイル(油ベース)の製品があります。
生産拠点はいくつありますか。
生産拠点としては、千葉県長柄町とここ京都府南丹市の2拠点です。当社の年間製造アイテム数が600ほどなのですが、千葉で450、京都で150くらいの製造割合です。当社の製品は最終製品ではなく、原材料の1つなので、安全面や異物混入には細心の注意を払い、1つ1つ丁寧に多品種小ロットで製造しています。例えば、当社の製品が1kgあれば、シュークリームでいうと1万個ほど製造ができるので、当社の製品に問題があれば顧客の方では大変な被害になりますよね。そのため、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるFSSC22000及びISO22000の認証を取得するなど、品質管理体制をしっかり整えています。
海外の顧客もいらっしゃるのですね。
そうですね。海外のお取引先は、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポールなどのアジアがメインです。海外に人気のフレーバーは、抹茶、桜、ゆずなど日本ならではのものが多いですが、そういった日本独特のものだけでなく、バニラやいちごなどの一般的な商品もご購入いただいています。洋菓子というと、一般的にはヨーロッパのイメージがあるかもしれませんが、東南アジアには日本の有名なシェフが指導に行っていることも多く、また、先日フランスで開催された「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2025」では、日本チームが2連覇を達成するなど、日本の洋菓子は今や世界トップレベルです。そういったことから、日本のパティシエが実際に使用している原材料を欲しいとのことで、様々な商品をご購入いただいています。
貴社の強みは何ですか。
当社の強みとしては、千葉工場の方に菓子を作る専門のスタッフがいることです。当社の製品はあくまで原材料の1つなので、実際に菓子に使用するとどうなるかというのをお客様の手元に届くまでに当社で実施しています。実際、当社製品としては良い仕上がりでも、クリームと混ぜたら香りが少し違うとか、チョコレートの色が悪くなったりすることもあるのです。また、千葉のセンターには、東京で長く洋菓子の技術指導員を務められたパティシエの方が、毎月講師として指導にきてくれています。
2.京都府について
本社が東京都にある貴社が、京都府に立地した経緯について教えてください。
当社が京都府に立地したきっかけは、海外進出を視野に入れてのことでした。2011年に東日本大震災が発生し、当社の顧客がいた中国や韓国などに輸出ができなくなってしまいました。ちょうどビジネスが段々大きくなってきたタイミングだったので、BCPの観点と、海外輸出を更に増やすために新拠点を探していました。名古屋より西で探していて他の候補地もあったのですが、創業者の会長と社長が海外市場への販売強化を考え絶対京都!ということで京都府に立地を決めました。
京都府に立地して良かったことは何ですか。
やはり京都ブランドというのはとても大きいです。京都府に立地していると、海外からのお客様に大変喜ばれます。去年の3月に、台湾のお客様が工場を見たいとのことで30人ほど来られたのですが、工場だけでなく京都観光できることに喜ばれていました。そのお客様は千葉工場で製造している製品を購入されていたのですが、京都に移してくれと仰っていました(笑)その見学の後に注文をたくさんいただけたので、京都府に立地して本当に良かったなと感じました。
立地されている南丹市についてはどうですか。
南丹市は自然が多く、普段私がいる千葉県の長柄町と雰囲気が似ていて馴染みやすかったです。立地している京都新光悦村は、ICからすぐなのでその点も良いなと思っています。また、立地をする際に、京都府と南丹市の両方がきちんと連携されていて、常に動きも早かったので、外から来るものとしては非常に安心感がありました。ご来社される際も、京都府と南丹市のご担当の方は、必ずといってよいほどご一緒に来られて、ご来社人数が想定より多く驚くこともありますが、当社に対しておもてなしと、情報を共有され、すぐに当社の要望や困りごとに対して応えようと考えてくださっているのだと思いありがたく感じております。
3.これからの展望について
貴社のこれからの展望について教えてください。
南丹センターができてからまだ5年なので、まずは、もっとここの生産量を増やしたいと思っています。当社全体の展望としては、海外からの注文をたくさんいただいているので、いずれは海外に拠点を設け、アジアだけでなくヨーロッパにも輸出できるような製品を作れたらと思っています。また、今は洋菓子やパンがメインですが、いずれは健康食品などにも事業を広げていきたいと思っています。食品関係という軸はしっかりと持ちつつも、新たに事業展開をしていければと思います。
4.京都府へ立地を検討している企業へのメッセージ
京都府へ立地を検討している企業へのメッセージをお願いします。
最後に、京都府へ立地を検討している企業へのメッセージをお願いします。
繰り返しになりますが、京都というブランド力はすごいです。実際に京都に立地して、そのことが更によく分かりました。海外からのお客様には必ず喜ばれますし、当社ではそこから取引が拡大したこともありました。是非、京都府に立地して京都のブランド力を感じてほしいです。